フォトコンテストに応募するときや、写真作品を発表するとき、タイトル(題名)に悩みますよね。
僕もタイトルを決めるのにかなりの時間を要することがあります。
理想は、タイトルを見なくても写真だけで撮影者の想いが伝わることです。
なので、僕は「写真タイトルは補助的なもの」として考えています。
この記事では、
「できればメッセージ性のあるタイトルをつけたいけど、説明的すぎるのも避けたい」
そんなジレンマの間を行く、ちょうどよいタイトルのつけ方をご紹介します。
この記事の目次
写真のタイトル付けの工夫
まず、僕が写真タイトルをつけるときに実践している工夫をご紹介します。
見たままのタイトルは避ける
例えば、桜の写真のタイトルを「桜」にしたり、富士山の写真に「富士山」と付けたりしていませんか?
誰が見てもわかるものをわざわざタイトルにしても、あまり意味がありません。
僕も思いつかないときは、ほぼそのままのタイトルにしてしまうこともありますが、できるだけ形容詞をつけたりして多少意味を持たせるようにしています。
テクニックとしては、その被写体から連想される言葉への置き換えです。
例えば、桜であれば「春のほほえみ」とか、富士山であれば「北斎を想う」などです。
このとき便利なのは、「○○○ 連想」と検索する方法です。
「○○○ イメージ」と検索するとイメージ画像が出てきてしまうので「連想」がいいと思います。
シソーラス(類語・同義語)検索でタイトル候補のバラエティを増やす
シソーラスというのは類語・同義語という意味です。
写真のイメージを言葉にしても、どことなくしっくりこないことがありますよね。
そんなときは「◯◯◯ シソーラス」や「◯◯◯ 類語」などで検索してみると、いい言葉が見つかることがあります。
コツとしては、シソーラス検索で見つけた類語をさらにもう一度検索し直して、意味を調べ直します。
その言葉の意味がイメージに合っていることを確認してからタイトルに採用しましょう。
写真タイトルをつけるときのヒント
僕はできるだけ凝 った写真タイトルを付けたい派なのですが、そのタイトルを考えるときのパターンをご紹介します。
ユーモアのあるタイトル
フォトコンテストの場合、子供の写真はユーモアのあるタイトルが好まれる傾向にあります。
子供写真とユーモアは相性がいいのです。
なぜなら子供は、どうでもいいことを真剣にやったり、つまらないことでも無邪気に笑っていたり、カワイイ失敗をしたり・・・。
そんな姿を形容するユーモアのあるタイトルを心がけてみてください。
ユーモアと言っても、笑わせる必要はありません。
小さなことをおおげさに表現したり、慣用句や四字熟語をもじってもユーモアが生まれます。
粋 というか、洒落 ているといった感じのタイトルを意識するのもいいですね。
詩的なタイトル
比喩や抽象的な表現を使って、詩的なタイトルも考えてみましょう。
これは風景写真などに適していると思います。
絶対に写真には写らない五感を表現するのもオシャレです。
例えば、雨の情景の写真に「雨音」(聴覚)とか「雨の匂い」(嗅覚)のようなタイトルをつける感じです。
松尾芭蕉の「古池や蛙 飛びこむ水の音」という俳句も、実際には書いていないのに「ポチャン」という音が想像できると思います。
そんな風に、頭の中で写真には写らない「感覚」を添えると深みが増しますね。
被写体の気持ちになったタイトル
これも子供写真では使いやすい手法です。
ペットなどの動物写真でもいいですね。
子供や動物などの被写体にセリフを付けるつもりで、タイトルを考えます。
子供写真の入選作品では一番よく見るパターンです。
子供の写真で大喜利をするつもりで考えるといいでしょう。
説明的なタイトルにはあいまいさを残す
写真のシチュエーションや人間関係などは、一目見ただけで伝わるのが理想ですが、それが伝わりにくい場合もありますよね。
そんなときはある程度、説明的でも仕方ないと思います。
ただ、説明的なタイトルを付ける際には「あいまいさを残す」というのを心がけてみてください。
タイトルで説明し過ぎないことで、そのシチュエーションや、前後のストーリーを想像してもらうのです。
例えば、男女2人が向かい合っている写真に「告白」とタイトルをつけると、「これから告白するんだな」とネタバレになってしまいます。
ストーリーは生まれますが、広がりがありません。
そこで、「伝えたい思い」というタイトルにすると、「告白?プロポーズ?別れ話?」と想像が膨らむのです。
ポエム式の長文タイトル
これもフォトコンテストではたまに見かけますが、長文タイトルも目をひくことができます。
例えば「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」みたいな感じです(昭和生まれの人にしかわからないかもしれません)。
前述の「詩的なタイトル」と通じるところもありますが、なんとなく意味深な長文タイトルをつけると、それだけで興味を持ってもらえるかもしれません。
ちなみにフォトコンテストによっては、タイトル文字数に制限がある場合もあるのでご注意ください。
タイトルをあえて「無題」にする
写真の解釈を、見る側に完全に委ねたい場合は「無題」とするのも手です。
タイトルに手がかりがないと、見る側は、勝手にいろいろと想像をめぐらせます。
「無題」がタイトルの写真は、フォトコンテストでもたまに見かけますが、応募票は空欄ではなく、「無題」や「no title」と書いておいた方が安心です。
空欄にしておくと、単純に書き忘れだと思われてしまいますからね。
タイトル付けに困ったときの便利な言葉
タイトルがどうしても思い付かなくて困ったときのアイデアをご紹介します。
次のような言葉をタイトルに含めておくと、見る人に適度な想像を促すことができます。
写真タイトルをつけるときに便利な言葉
- ◯◯の思い、◯◯の願い
- ◯◯の時間、◯◯のひととき、◯◯の日
- それぞれの◯◯、二人の◯◯
- ◯◯の記憶、◯◯の追憶
- ◯◯の便り、◯◯からの手紙、◯◯の知らせ
例えば、一人で写る女性の写真に「母の思い」とタイトルを付ければ、「これは撮影者のお母さんなんだな」とわかるし、「どんな思いなんだろう」と想像をめぐらせます。
同じ「母の思い」というタイトルでも、世代の違う二人が写っている写真なら「この二人は母子なんだな」と解釈され、二人の思いの交錯を想像させます。
このように、少しだけ見る側の想像力を刺激するタイトルにするのがコツです。
他にも、「◯◯の時間」については、被写体が何をしている場面なのかを表現することができます。
こういった言葉を盛り込むと、なんとなくそれっぽいタイトルになるのがメリットです(笑)
説明(コメント)欄には何を書けばいい?
フォトコンテストの応募票でよくあるのが、説明(コメント)欄です。
キャプションやステートメントとも言います。
僕は面倒なので、撮影時のシチュエーションを書くだけにしています。
例えば、
「娘と息子が、仲良く絵本を読んでいる姿を撮影しました」
といった感じです。
この説明書きが賞に影響するとは思えないので、僕はあまり力を入れていません。
でもパッと見ただけでは気づきにくいことや、どうしても補足したいことがあれば、書き足しておくといいでしょう。
ただし、エピソードも含めて評価されるコンテストもあるので、その場合は気合いを入れて書いてくださいね。
写真タイトルの付け方 まとめ
タイトルをつける前に、あなたは、解釈を鑑賞者に委ねたいのか、こちらの撮影意図をどうしても伝えたいのかを決める必要があります。
前者なら「なるべく情報をなくす」
後者なら「伝えたいことだけにとどめる」
というのが理想です。
これを意識しながらタイトルを考えるといいと思います。
フォトコンテストの選評で、「タイトルが秀逸です」というコメントを見かけることがありますが、そういうコメントをもらえるように考え抜いてみてください。