僕の写真論

フォトコンテストで選ばれる組写真の並べ方のコツ

フォトコンテストで選ばれる組写真の並べ方

フォトコンテストに組写真で応募するとき、組み方(写真選びや並べ方)で悩むことはありませんか?

でも、組写真の組み方についてはあまり語られることがありません。

そこで、僕があらゆるフォトコンテストを研究して導き出した最適解をご紹介します。

もちろん写真は感性なので正解はありませんが、組写真を並べる上でのヒントになれば幸いです。

組写真とは

当ブログは「ひとコマドラマ」というタイトルですが、ひとコマ(1枚)でドラマ(ストーリー)を表現したいという思いから名付けています。

でも、写真の表現には単写真だけでなく、組写真もあります。

組写真とは複数の写真を組み合わせて、ストーリー性やメッセージ性のある1つの作品にするものです。

フォトブックもある意味では組写真ですね。

組写真は単に写真を寄せ集めればいいのではなく、1枚1枚が補いながら1つのテーマを表現する必要があります。

そういう意味では、作者の意図を具体的に表現しやすい手法と言えます。

組写真は全体のバランスが命

組写真は、複数の写真で1つの作品を仕上げるので、1枚1枚はそれほど強くなくても大丈夫です。

1枚にインパクトがありすぎて、それ以外があまりに弱いと、組写真にする意味が薄れてしまいます。

逆に主役級の写真があまり多いと、げんなりしてしまいます。

組写真はバランスの取れたチームプレーでなければいけません。

組写真のバランスを取るための要素

では、どうやって組写真のバランスを取ればよいのでしょうか。

バランスを取る要素の具体例を挙げてみましょう。

縦位置か横位置か

まず簡単なのは縦位置と横位置です。

縦位置と言うのは、カメラを横に倒して撮った縦長の写真です。

横位置は普通に構えて撮った横長の写真です。

組写真は、縦位置と横位置をバランスよく配置したり、すべてを横位置に統一したりして、どう見えるかを考えましょう。

フォトコンテストによっては、縦位置か横位置を統一するよう指定されている場合があるので注意してください。

寄りか引きか

これは比較的重要な要素です。

被写体に近寄って撮ったもの(寄り)と、遠めから撮ったもの(引き)でリズムを調えるのも一つの手です。

すべて同じような距離感の写真で統一すると、見る側は単調に感じてしまいます。

引きの写真の中に寄りの写真をバランスよく組み入れるとメリハリが出ますね。

アングル

これも寄りと引きに似ていますが、写真を撮る角度に変化をつけるのも大切です。

同じ人を撮るにしても、上からなのか、下からなのか、正面からなのか、横からなのか・・・。

同じ角度ばかりでは見る側が飽きてしまい、組写真の良さを発揮できません。

撮影の段階でいろいろなアングルで撮っておくとよいでしょう。

主役と脇役

主役と脇役もバランスよく配置しましょう。

被写体が同じものばかりでは、やはり飽きてしまいます。

シチュエーションを示すものや、ポイントとなる小物などを織り交ぜると、言葉を使わなくても見る側に説明することができます。

あえて変化をつけない組写真

ここまでは観賞する側を飽きさせないように、しかもストーリーの想像を膨らませるようなコツを書いてきましたが、逆に変化をつけないという手法もあります。

変化を見せる組写真は同じ構図でそろえる

ある特定の変化を表現したい場合は、それ以外の変化を排除する必要があります。

例えば、子供の頃の写真と同じポーズ、同じ場所、同じ立ち位置で撮影して、成長の変化を表現する場合などがそれです。

このとき、ポーズも立ち位置も違ったら「この人たち誰やねん!」となってしまって、意図が伝わりません。

つまり、あえて同じシチュエーションにすることで、そこにある変化が伝わるというわけです。

統一感がテーマの組写真は同じくらいのインパクトにする

統一感をテーマにする組写真もよく見られます。

例えば、街角のスナップショットで同じ色の物を集めた組写真などです。

このとき、色の面積が大きいものや小さいものが入り混じっていたり、寄りや引きの写真が混在していると、統一感がなくなり「同じ色のものを集めた」意図が薄れてしまいます。

なので、見た目は同じくらいのインパクトになるようにそろえる必要があるでしょう。

組写真を並べる順序は?

組写真は上記のような要素のバランスを考えて並べるわけですが、その順序も重要です。

主張の強い写真や主役となる写真は真ん中辺りに置かれることが多いです。

そしてバランスを見ながら、途中には箸休め的な写真も挿し込みます。

このときの順番は時系列にこだわらなくてもOKです。

必要なら日を改めて足りない要素を補うカットを撮影し直してもよいでしょう。

ただし、明らかに時系列に逆らっていることがわかるような構成は控えた方がよいと思います。

組写真を構成する枚数は?

組写真を組むときの枚数はどのくらいにすればよいのでしょうか。

当然ながらフォトコンテストの応募規定で枚数に制限がある場合は、その数に収めなければいけないので、事前に規定はしっかり読んでおきましょう。

組写真は3~5枚がスマート

これも答えはありませんが、僕の考えとしてはなるべく少なくスリムにしたいところです。

個人的には3枚~5枚がバランスを取りやすく、シンプルにまとまる気がします。

あまり枚数が多いと冗長な説明のように感じてしまうので注意です(少なくとも僕は)。

ただし「エプソンフォトグランプリ2018」のグランプリ作品は驚きの159枚です。

結局はテーマ選びと写真の内容がものを言うわけですが、なるべくシンプルにスマートにまとめつつ、見る側に印象を残すことを考えましょう。

2枚の組写真は対比で勝負

組写真では2枚組みの手法もよく使われます。

前述の過去と現在の変化や違いを対比させて表現する方法です。

以下のフォトコンテストでのグランプリは対比で表現された組写真です。

この手法は使いやすいので参考にしてみてください。

枚数が多い組写真での注意点

ドキュメンタリー的な組写真の場合は、枚数が多くなる傾向にあると思います。

その場合は同じようなカット(写真)がないかをよく確認してください。

そうしないと雑多な写真をただ詰め込んだだけという印象を与えてしまいます。

枚数が多くなっても、選定と並び順はよく考えるようにしましょう。

組写真の作例

では具体的な組写真の作例を紹介します。

僕はあまり組写真で応募しないので作品数は乏しいですが、以下は「こころつないで」フォトコンテストで賞をいただいたものです。

行楽姉弟
行楽姉弟1 行楽姉弟2 行楽姉弟3

これは「こころつないで」フォトコンテストの第8回第1期の準グランプリをいただいた組写真です。

この作品は3枚組で、真ん中にインパクトを置いています。

真ん中の写真をスクエア(正方形)にした方が収まりが良かったので、それ以外の写真もスクエアに統一しました。

審査員の方からも、好評をいただきました。

動物園での一コマですが真ん中の写真が本当に面白いですね。

このカットが作品をユニークにしました。

また引きと寄りの組み合わせも嫌味なく素直に入ってくる印象があります。

表情を追いかけずしぐさでその時の楽しさが上手く表現されており組写真の良さが存分に詰まった秀作だと思います。

ここまで誉めていただけて嬉しい限りですが、そこまで仰るならグランプリにして欲しかったですね(笑)。

姉弟で水やり
姉弟で水やり4

これは同じく「こころつないで」フォトコンテストの第8回第2期の入選の組写真です。

縦位置と横位置を交互に配置して、2枚目に箸休め写真を入れています。

この2枚目は仲の良い2人を見守る自分の姿とイメージを重ねた写真ですが、審査員の方にはきっと伝わっていません(笑)。

個人的には引きの写真のアングルに気を遣えばよかったかなと反省しています。

組写真の並べ方:まとめ

組写真は全体のバランスと順番を考えながら構成することが大切です。

例えるならコース料理ですね。

前菜に始まりメインディッシュがあってデザートで終わるように、写真の流れに強弱をつけ、順番にも違和感がないように組みましょう。

とはいえ例外もあり、組写真の組み方には決まりがあるわけではありません。

シチュエーションや作者の意図によっても組み方は違ってきます。

表現したいテーマが伝わりやすいように、しかも鑑賞する側を飽きさせないように組むことを心がけましょう。

フォトコンテストによっては組写真が選ばれやすいものや、組写真部門として独立しているものもあります。

組写真は応募数が少なく、フォトコンテストでは有利に働くことが多いです。

組写真に取り組んでみると、写真表現の幅が広がります。

写真のストックが溜まってきたら、ぜひ組写真にも挑戦してみてください。